3連休を利用した、パリからのヴェニス旅行。 飛行機なら片道約1時間40分、175ユーロ(往復料金)~、 夜行列車だと片道13時間、60ユーロ(6人部屋の寝台車)~、 と、手もとのガイドブックにあります。 飛行機は手っ取り早いけれど、でも 列車の旅のメリットは、「空港まで移動する必要がない」こと。 パリ市内から列車に乗って、ヴェニスのサンタルチア駅まで直行できる。 それに、 金曜日の夜、列車に乗ってしまえば、 翌朝にはヴェニスに到着している と考えると、時間の節約にもなります。 短い週末旅行にはもってこい! さらに、金曜夜のホテル代も節約できるし。 というわけで、土・日・月の3連休ヴェニスの旅の出発に、私は夜行列車を選びました。 料金は大人1人、子供2人(12歳、11歳)で、合計295ユーロ。 帰りはeasyJetという格安エアラインを利用し、721,97ユーロです。 パリ→ヴェニス夜行列車の旅程は、以下のとおり。 Paris-Bercy (> Dijon > Dôle) > Milano > Brescia > Verona Porta Nuova > Vicenza > Padova > Venezia Mestre > Venezia S.L. パリ・ヴェルシー駅 20時33分発。 ベネチア・サンタルチア駅到着 翌9時43分 電車の中で一晩寝て 目を覚ませば、水の都、ヴェニスに到着しているわけです が、パリ・べルシー駅にきてみると(1時間も前に……) スイスのトンネルで火災があり、イタリアから到着するはずの車両が遅れ、 私たちの出発も1時間遅れる、とのアナウンス。 「イタリアの列車はひどく遅れる」という悪評を、いろんなところで目にしていましたが(今でもかい!)、 さっそくのおでまし。 「じゃ、9時半につくのが、10時半になるのね」と、強いて気楽に構えた私が甘かった、なんて このときは知る由もありませんでしたよ。 とにかく、到着した車両に乗り込みます。 どやどや。 アメリカ人の修学旅行グループの面々も、同じ車両に乗り込んできます。 「これは夜、うるさそうだなー」 という心配は、的中しました。 でもご覧のとおり、おじいさんも乗り込むし、 また小さな子供連れもいるしで、いろーんな人たちが夜行列車を利用するのだなあ、と。 私たちのコンパートメントの扉。(イタリア語表記ですねえ) これで自分の寝台を確認します。 ちなみに、3段ベッドの一番上が、盗難も少なく(昔得た情報)、天井スペースも広めで人気のようですが、 私が予約をしたときには、最上段はもういっぱいでした。 さらに加えると、ヴェニス行きの夜行列車には、 1人部屋や3人部屋もあります。 もちろん私も3人部屋を狙いましたが、これは、かなり早い時点での予約が必要のようでした。 ビエンナーレ開催中の週末、というのも、影響したのかもしれません。 私たちのコンパートメントは、若いカップルと同席です。 なんと、ヴェネズエラからいらしたとのこと。 すでにポルトガルとスペインを、列車で周ってきたのだそうです。 出発が1時間遅れたので、はやくも子供たちはあきあき。 マンガとゲームを持っていてよかった。 (ついでに、サンドイッチやお菓子、水も、準備していてよかったー!!) 電車が動き出し、しばらくしてから 座席の背を倒してベッドをセット。(もちろん客が自力で) 車掌さんが、毛布とシーツを配ってくれます。 枕もありました。 なかなか快適。 途中、車掌さんが、チケットとパスポートを集めに来ました。 真夜中に国境を越えるので、パスポートコントロールを車掌さんが代行してくれる 仕組みなのだそうです。 「明日の朝、起こしにきますから」 と、若くて美形の車掌さん。(フランス語、英語、イタリア語を話しましたが、スイス人だった気がする) 寝台の上で、 「こんど、友達と一緒にやりたいよ」と、子供たちは楽しげ。 ながーく横になれるので、飛行機のエコノミークラスに比べれば天国です。 この日はすんなり寝付き、「目が覚めればヴェニスね」と、あくまでも気楽な私でした。 夜中に何度か電車が止まり、「ここはディジョンか?」などと思っていましたが…… 明るくなっても、そしてかなり日が高くなっても、誰も起こしに来ません。 しかも、電車は止まったまま。 廊下から、コーヒーと紅茶を売るワゴンの音が聞こえてきます。 イタリア語? ここはどこー? Modaneという駅、山の上に城壁が見えます。 ベネズエラの彼が駅員さんと長話をし、得た情報によると、 「この列車には lot of problem がある。 彼らもどうしたらいいか、何時につくのか、わかっていない。 でもヴェニスに到着するよう、努力してくれる」 ということ。 なんだか心もとないわ…… 上の写真は車内から撮影したので、暗いですが 外はこのとおりの快晴。 「土曜日は晴れのち曇り、日曜日は曇り時々雨」が、この週末の天気予報。 天気のいい土曜日に、一日列車の中だなんて。 あんまりだわ。 (しかし今も思うのですが、この駅で降りてゆく人たちは?? 一体何なのでしょう) 続いて、トリノに到着。 ユーロスターです。 イタリアにユーロスターがあったのね。 そして広がる田園風景。 水田です!! 北イタリアはリゾット、南はパスタ、と聞いたことがあります。 水田はずーっと続きました。 家々にはバルコニーがあり、 そのバルコニーに国旗を掲げているところが多かったです。 もちろんイタリアの。 洗濯物もよく見ます。 あと、バルコニーを覆う、外のカーテンのようなものも。 屋根は赤く…… やっぱりイタリア。 フランスとは違うのですねえ。 ノヴァラという駅。 野バラ。(ごめん) そしてミラノ! ようやくミラノだよー!! ホームの自販機には、あっという間に人だかり。 勇気のある人は、駅構内の店まで、ピザや飲み物を買いに行っていました。 でも、列車の停車時間が何分間か、駅員にもわからない状態。 私には、そんな冒険はできませんでした。 (しかし毎回、ながながと停留するんだ、これが) たしかこの時点で、すでに午後1時をまわっていたはず。 みんな空腹です。 だって、夕飯はサンドイッチだし、朝ごはんも食べていないのだから。 もちろん夜行列車には食堂車がありますが、この遅延のせいで 食べ物も飲み物も、とっくに売切れていましたよ。 車両から一歩も出ず、ひたすらゲームをする子供たち。 頭の上に、ベネズエラの彼の足がぶらり。 ミラノに到着する前に、私は年配の車掌さんに質問したのです。 「ミラノに着いたらこの列車を降りて、ユーロスターに乗り換えたほうが 早くヴェニスにつけるのではないか?」と。 その車掌さんは、電話でどこかに問い合わせをして、 私のコンパートメントまで情報を伝えに来てくれました。 「ミラノからヴェニスまでは、2駅しか止まらない。 ユーロスターは速度は早いけれど、別のルートを通り、何駅も停車する。 だからこの列車に乗っていたほうが、やはくベニスにつける」 なんかへん。 そんなことあるか? とギモンでしたが、 もーいいや、と腹をくくって、同じ列車で旅を続けましたよ。 でも、ミラノを出てから停車すること、約5回。 もっとかな? 最初のうちは、停車するたびに駅名を撮影しよう!とがんばっていましたが、 もうやめました。 途中、水とジュース、ウエハースが配られました。 なんとか飢えをしのぎ、「食費が浮いたと考えることにしよう」と切ない努力をし。 気づけば海を渡っています。 いよいよヴェネチア・サンタルチア駅に到着ですよーーーーーーーーーっ!!!!! 感動、というよりも、感覚が麻痺してしまった感じ。 (珍しく頭痛もあって……) でもとにかく到着しました。 午後6時。 長かった…… それに疲れた。 腹減った。 列車を降りたら、「ヴァポレット」という船のバスに乗らねばなりません。 ホテルに行かねば。 ホームをそのまま直進し、駅の正面口を出ると、この景色! わーお! 駅前広場の向こうは、道路ではなく、水です!! やー、ヴェニスって、本当に、道が水(運河)なのねー。 右を見ると、こんな感じ。 左を見ると、こんな感じです。 橋の上には、結構な数の人(観光客)。 ビエンナーレの影響も、あるのでしょうね。 黄色い線のあるプレハブのようなものが、ヴァポレット乗り場 ↑ です。 運河に浮いています。 ここからヴァポレットに乗り、リアルト橋で降り、サンマルコ広場方面へ歩くと 予約をしたホテルがある。はず。 「夜行列車で交通費を節約する分、ホテルは贅沢をしようと決めてよかった。」 そう思いつつたどり着いたホテルは、ものすごーくラグジュアリー!ではありませんでしたよ。 ヴェネチア価格ですね。 以上、パリからヴェニスへ、夜行列車の旅でしたー。 *** 本来ならば、パリ・ベルシー駅を出発後、ディジョン、ドール(ジュラ)に停車、 スイスを越えてイタリアに入り、ミラノからヴェニスへ、というコースのところを…… トンネルの火災があったスイスを迂回し、トリノからイタリアに入った、ということのようです。 今調べて、やっとわかりました。 昔は地図と時刻表を持って旅行をしたものですが、今は現地のガイドブックと往復のチケットだけ。 これでは予期せぬ事態がおきたとき、うまく対応できません。 あ、でも、Iphonとかで、スムーズに対応できるのか。 私のパリ→ヴェニス寝台列車の旅は、悲惨な結果となりましたが、 本来ならば中間のいろいろはすっ飛ばして、 パリで列車に乗り、ヴェニスに到着した写真だけで済んだはずです。(って結構リスキーみたいだけど) ご興味のある方は列車artesiaのサイトをご覧ください。 また、オリエント・エクスプレスを利用すると、とーってもラグジュアリーなムードの中で ヴェニスに到着できるようです。 結論: また同じ目にあうのはまっぴらだけど、 今の時代とは思えない旅行気分を味わえました。 また、車窓の風景が変わってゆくのを眺めるのは、よいものです。 言葉も徐々に変わります。 そういう感覚は、飛行機では味わえないですね。
by societebonne
| 2011-06-17 00:32
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